01 家計の今と将来を分ける
今月の家計が黒字でも、来月の引っ越し代を払えるとは限りません。反対に、住宅を持っていても毎月の支払いに困ることはあります。まず「一定期間に出入りするお金」と「ある日の財産・借入残高」を分けます。
FPは希望を聞いて数字や資料へつなぐ専門家です。ただし、税務申告や個別の法律判断、金融商品の投資助言などにはそれぞれ資格・業法上の境界があります。自分で確認する範囲と、専門家につなぐ範囲も整理します。

02 資金計画の作り方
家計の現在地を二つの数字で見る
収支は同じ期間の収入合計から支出合計を引きます。純資産は同じ日の資産合計から負債残高を引きます。毎月の返済額と借入残高、預金への振替と消費を混同しないことが大切です。
例えば手取り32万円、生活費27万円、返済2万円なら月間収支は3万円の黒字です。一方、同じ月末の資産150万円、負債70万円なら純資産は80万円です。3万円と80万円は答えている問いが違います。
予定を時期と金額にする
教育、住まい、働き方、老後などの予定を時系列に置き、支払いが発生する年と必要額を見積もります。キャッシュフロー表では、年ごとの収入・支出だけでなく、前年の貯蓄残高から翌年へどうつながるかを追います。
計画を作ったら終わりではありません。収入、家族構成、物価、借入条件が変わったときは前提を更新します。FPの倫理として、相談者の利益と個人情報を守り、説明できる根拠を残します。
現在価値と将来価値を取り違えない
同じ金額でも、今必要なお金と将来受け取るお金は時点が違います。6係数は「一度だけ預けるか、毎年積み立てるか、取り崩すか」を先に決めて選びます。係数の名前を暗記する前に、何を求めたいかを言葉にしてください。
終価・現価は一度のお金、年金終価・減債基金は積立、年金現価・資本回収は取崩しの組です。設問では利率と年数をそろえ、係数を掛ける元の金額が一時金か毎年の額かを確認します。
- 月の収支:収入 − 支出
- 年末残高:前年末残高 + 年間の貯蓄増減
- 純資産:同じ日の資産 − 負債
図は理解用の整理です。適用要件や最新の数値は本文と一次情報で確認してください。
03 計算で迷ったときの順番
資料に「期間」か「基準日」か印を付けます。次に、将来の支出が一度だけか毎年かを決め、手元の額から将来額を求めるのか、将来必要な額から現在の準備額を逆算するのかを選びます。
計算では式と単位を残します。例えば年間収支と年末残高は連続しますが、同じ数字ではありません。
04 例題で確認する
正解を選んだあと、全選択肢の理由まで確認しましょう。このページの回答履歴は保存しません。
問1
結衣さんは、①昨年1年間で収入と支出のどちらが多かったか、②3月31日に財産と借入れがどれだけ残っていたかを知りたいと考えています。使う資料の組合せとして適切なのはどれですか。
正解:①は昨年1年間の収支表、②は3月31日時点の家計のバランスシートで確認する。
- A:預金残高だけでは、1年間の収入・支出の内訳や、ほかの資産・借入残高が分かりません。
- B:収支表は期間のお金の出入り、バランスシートは同時点の資産と負債を示すので、問いに対応しています。
- C:時点の残高表だけで年間の収支は分からず、年間収入だけで特定日の資産や負債も分かりません。
問2
2027年12月31日に29歳の人が、2031年中に一度だけ住み替えの初期費用72万円を払う予定です。各年末の年齢でイベント表を作るとき、2031年の記載はどれですか。
正解:33歳・住み替え費用72万円を2031年の一時支出
- A:年末年齢の経過を反映せず、一度の費用を毎年の支出に変えています。
- B:4年後の年末年齢は33歳で、費用は予定年に一度だけ置きます。
- C:経過は4年であり、一時支出を毎年計上しません。
問3
基準年の費用は80万円です。毎年5%ずつ増加すると仮定した2年後の費用はいくらですか。途中で丸めず、万円単位の小数第2位まで答えます。
正解:88.20万円
- A:80×1.05は1年後の金額です。
- B:80×1.05×1.05=88.20万円です。
- C:基準額へ5%分を2回足しただけで、2年目の増加分への増加を反映していません。
問4
毎年末の積立額が決まっていて、一定利率で複利運用した最終積立直後の総額を知りたいと考えています。毎年の積立額に掛ける係数はどれですか。
正解:年金終価係数
- A:目標総額から毎年の積立額を求める向きです。
- B:将来の一括額から現在の一括額を求める係数です。
- C:同額を毎期積み立てた将来総額を求めます。
05 要点をまとめる
- 収支は期間、純資産は同じ日の資産−負債。
- ライフイベントは時期・金額・優先度をそろえる。
- 6係数は預け方・積立・取崩しの目的から選ぶ。
- 計画と相談範囲は状況の変化で見直す。