まずは、仕事の流れを見える化
注文の間違いはどこで起きたのか。仕事を調べ、直す場所を見つけよう。
- 知りたい理由に合わせて、質問の進め方を選べる。
- 案を広げる段階と、類似した案をまとめる段階を区別できる。
- 業務フローの受渡しと、観察した待ちや誤りを対応させる
点線のことばを押すと、意味と使い方を調べられます。
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このページの目次 3節・復習と4問
- 1説明を読む
- 2復習する
- 3問題を解く
- 4次へ進む
1知りたいことに合わせて調べ方を選ぶ
仕事の困りごとを調べるときは、先に「何を知りたいか」を決めます。同じ注文ミスの調査でも、頻度と原因では集めたい情報が違います。
- アンケート:多くの人に同じ項目を尋ね、回答の傾向を調べる。「注文ミスを経験したか」を広く尋ねる例です。
- インタビュー:「どんな状況で、なぜ困ったか」を詳しく聞く。
- フィールドワーク:実際の場所へ行き、観察・調査する。本人の説明と現場で見える行動が違うこともあります。
インタビューは、質問をどこまで決めておくかでも分かれます。
- 構造化:全員に同じ質問をし、答えを比べやすくする。
- 半構造化:共通の質問を用意し、答えに応じて掘り下げる。「注文で困ったことは?」に「画面が見づらい」と返ったら、「どの部分ですか?」と追加する。
- 非構造化:質問や順序を厳密に固定せず、話の流れを重視する。「普段の買物について自由に話してください」から、気になる点を探る。
自由度の高い聞き方は思わぬ課題を見つけやすい一方、回答を比べるには整理が必要です。聞いた話だけで原因を決めず、目的に合う方法を組み合わせて確かめます。
| 知りたいこと | 方法の例 |
|---|---|
| 担当者の経験や理由 | インタビュー |
| 多くの人の回答の傾向 | アンケート |
| 作業の順序や引継ぎ | 業務フローの整理 |
| 作業時間や待ち時間 | 条件をそろえた観察・計測 |
選び方と質問の内容により、得られる情報は変わる。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
担当した店員さんに話を聞けば、困っているところが分かるかな。
理由を詳しく尋ねるインタビューが使えるね。多くの人に同じ項目を聞くアンケートや、現場を観察する方法もある。何を知りたいかで選ぼう。
話を聞くだけでなく、実際の受け渡しも見れば、言葉だけでは気づかないことが見つかりそう。
そのように情報を組み合わせて考えるんだ。間違いが起きる場所と理由を整理してから、直すための案を出していこう。
2仕事の順番を描き、受け渡しを見る
「注文を受ける→厨房へ伝える→作る→渡す」と仕事を順番に並べると、どこで情報や品物を受け渡すかが分かります。この仕事の流れを表す図が業務フローです。手順の名前だけでなく、誰が担当するか、条件によって手順が分かれる分岐があるか、どこで待つかも調べます。
例えば、レジから厨房へ渡す伝票の文字が読みにくければ、注文を聞く方法より、伝票の書き方や伝え方を見直す方が課題に合います。同じ「注文ミス」という結果でも、起きた場所によって対策は変わります。図の各工程に、観察で確かめたい点を対応させてみましょう。
同じ「注文ミス」でも、起きた場所により改善策が変わる。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
頼まれた飲み物と違うものを渡してしまうことがあるんだ。注文の受け方を変えたほうがいいのかな。
まず、どこで間違いが起きたか調べよう。聞き間違いなのか、厨房へ伝えるときなのか、作るときなのかで、考える対策が変わるよ。
注文を受けてから渡すまでを、順番に確かめるんだね。
仕事の順番や受け渡しを図にしたものを業務フローというよ。担当する人や、途中で待っている場所も見えるようにするんだ。
3思いついた案を広げ、似た内容をまとめる
困りごとへの案を出す段階では、すぐに批判せず、多くの発想を集める方法があります。これがブレーンストーミングです。紙などに案を書き、ほかの人の案を見ながら発想を広げる方法はブレーンライティングと呼びます。集めた意見を似た内容ごとにまとめ、全体の関係をつかむ方法が親和図法です。
例えば「伝票が読みにくい」「文字が小さい」は伝達の問題としてまとめられます。ただし「伝票が読みにくい」という原因候補と、「文字を大きくする」という解決案は別です。現状の問題を整理しているのか、改善策を検討しているのかを確かめながら進めます。
ブレーンストーミングの基本は「批判を控える・自由な発想を歓迎する・量を重視する・他の案を組み合わせ改善する」の4点です。案を出す時間と、実現できるかを評価する時間を分けます。
- 1ブレーンストーミング
批判を控え、さまざまな案を出す
- 2親和図法
似た内容のカードなどをまとめ、関係や意味を見いだす
- 3検討する
目的や条件を基に、実施する案を選ぶ
発想と評価を同時にしすぎると、案を出しにくい。
4作業を観察する方法と、数で選ぶ方法
IE(Industrial Engineering:生産や作業を合理化する工学的手法)は、作業の動きや時間、配置などを調べて改善します。カフェで店員が道具を取りに何度も往復していたら、移動距離や時間を測り、道具の配置を変えて比べます。
OR(Operations Research:意思決定を数理的に支える手法)は、目的と条件を数や式で表し、よりよい選択を考えます。配送先を回る順序を、距離や配達時間の制約の下で比較する例です。
測定値を並べる表計算ソフト、記録を条件で探すデータベース、集計してグラフを作る分析ツール、結果を伝える資料作成ツールを、仕事の段階に合わせて使います。どのツールでも、入力する値の意味と単位が正しいことが前提です。
5正確な数が分からないとき、分けて見積もる
手元に正確な統計がないとき、問題をいくつかの要素に分け、仮定した数からおおよその規模を見積もる方法がフェルミ推定です。
例えば学園祭で飲み物を何杯用意するかを考えます。来場者を600人、買う人を半分、買う人1人につき平均1.2杯と仮定すると、600×0.5×1.2=360杯です。来場者・購入する割合・1人当たりの杯数に分けたので、どの仮定を確かめればよいかも分かります。
実測した結果ではありません。購入する割合が30%なら216杯、70%なら504杯になります。仮定を少し変えて結果の幅も見て、調査や仕入れの判断につなげます。
| 見るところ | 具体例・考え方 |
|---|---|
| 人数 | 来場者600人と仮定 |
| 割合 | 買う人50%=0.5と仮定 |
| 数量 | 買う人1人平均1.2杯と仮定 |
| 見積もり | 600×0.5×1.2=360杯 |
理解のための架空の例です。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
360杯って、もう決まった数字なの?
仮定から出した見積もりだよ。人数や買う割合が変われば結果も変わるので、幅と根拠も伝えよう。
7見積もる・現場で知る・データから推定する
正確な数がないときのフェルミ推定と、実際に集めたデータから傾向を求める統計的な分析は、根拠の使い方が違います。
- フェルミ推定:来場者数×買う人の割合×1人当たり杯数のように、分解した要素へ仮定を置いて概算します。
- エスノグラフィ:現場の人の生活や行動へ入り、観察やインタビューなどから、その人たちの習慣や意味付けを理解する調査です。フィールドワークを用いる場合があります。
- 回帰分析:実際に集めた気温と販売数などの関係を式で表し、値を見積もります。
- デルファイ法:専門家に匿名で繰り返し質問し、意見の集約結果を返して再検討してもらいます。
同じ『来月どれくらい売れるか』でも、使えるデータ、知りたい理由、専門家の知識によって選ぶ方法が変わります。名前だけで万能な予測方法と考えず、何を根拠に、どの範囲まで分かるかを確かめます。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
現場の人のやり方を知りたいときも、人数を仮定して掛ければいい?
習慣や理由を理解したいなら、現場の観察や対話が大切だよ。知りたいことに合わせよう。
6目的・原因・意味の関係を描き分ける
系統図は、目的を達成する手段を段階的に分ける図です。「待ち時間を短くする→会計を早くする/受取りを早くする」のように、何のための手段かをたどれます。
ロジックツリーは、問題などを枝分かれさせて整理します。「売上が減った」を客数と客単価へ分ければ、どちらが変わったかを調べられます。描いた枝が本当の原因かはデータで確かめます。
コンセプトマップは、概念を線と関係を表す言葉でつなぐ図です。「店が提供する飲み物を、お客さんが注文する」というように、意味の関係を表します。これらの図の用途には重なる部分もあります。
図の数値を文字で確認
系統図:待ち時間を短くするため、会計を早くする手段と受取りを早くする手段に分ける。
売上=客数×客単価という分け方で調べる例。
同じ飲み物という概念に、異なる関係がつながります。
復習
このパートを振り返ろう
共通の質問だけでは分からない理由を知りたい場合、どう聞きますか。
意見を出す時間と、集まったカードをまとめる時間では何を重視しますか。
答え方と、確認するポイント
案出しでは批判を控え、自由に多くの案を出し、他の案も発展させます。集まった意見は似た内容ごとにまとめます。前者はブレーンストーミング、後者は親和図法の使い方です。
厨房が伝票を聞き返して待つ場合、どの受渡しを調べる?
答え方と、確認するポイント
受付から厨房へ渡す情報の書き方と確認方法を調べ、問題が起きた工程に対策を対応させる。
問題で確かめる
実際の問題に挑戦しよう
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)公開過去問1問、入門の確認問題3問で、この範囲の考え方を使います。答えを選んだら、正解の理由とほかの選択肢の違いも確かめましょう。
ヒントを見る
質問を用意する点と、その後の柔軟さを組み合わせて考えます。
オリジナル入門問題 · シラバス 6.5
公開問題・原図の著作権はIPAにあります。表記・表の配置を整えています。解説は当サイト独自のものです。
4問中0問の答えと解説を確認しました。選んだ答えの理由も確かめてから、次へ進みましょう。
出典・参考資料を確認する
学習範囲:IPA シラバス Ver.6.5 ↗ 項目2。身近な例・会話・図解・確認問題は当サイトのオリジナルです。