「平均」だけで、分かったつもり?
待ち時間を一つの数字で伝えるとき、何が分かり、何が隠れるのかを考えよう。
- 中央値を平均・最大値と区別して求められる。
- 相関があっても因果を断定できない理由を説明できる。
- 相関行列の対称性・対角値と、一定値の項目で計算できないことを読み分ける
点線のことばを押すと、意味と使い方を調べられます。
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このページの目次 3節・復習と3問
- 1説明を読む
- 2復習する
- 3問題を解く
- 4次へ進む
1全体をどの数字で代表させるか
多くの数値の特徴を代表する数を代表値と呼びます。
2と3はどちらも2回なので、最頻値は2と3の二つになります。また、データが偶数個なら、中央にある二つの値の平均を中央値として使います。どれかがいつも正しいということではなく、何を伝えたいかで選びます。代表値だけでは、長く待った人の存在や全体のばらつきまで分からないため、分布も一緒に見ます。
20分の1件が平均を押し上げる。代表値と分布を一緒に見よう。
最頻値は最も多く現れる値。この例では2と3がどちらも2回で、最頻値は2と3です。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
5人の待ち時間の平均が6分だったんだ。だいたいみんな6分くらい待った、ということ?
それだけでは分からないよ。2・2・3・3・20分でも、合計30分を5人で割ると平均は6分になる。
20分待った人が一人いて、ほかの4人は2分か3分なんだね。
小さい順に並べた真ん中の値を見る方法もある。この中央値なら3分で、平均とは別の特徴を表せるよ。
真ん中は3分なのか。いちばん多く出てくる待ち時間を伝えることもできる?
できるよ。最も多く現れる値は最頻値という。この例は2と3がどちらも2回なので、最頻値は2と3の二つある。
平均だけを見るより、真ん中や多かった値も見ると、待っていた人たちの様子が分かるね。
数値全体の特徴を代表する数を代表値というよ。ただし、一つの数ですべては伝えられない。どのくらい散らばっているかも一緒に見よう。
2一緒に変わることと、原因になること
暑い日に冷たい飲料の売上と熱中症がともに増えても、飲料を売ることが熱中症を起こしたとは言えません。二つの量が一緒に変わる関係を相関、原因と結果の関係を因果と呼びます。例では、気温という別の要因が両方に関わる可能性があります。
直線的な関係を数で表す相関係数は−1から1の範囲です。正なら一方が増えると他方も増える方向、負なら一方が増えると他方が減る方向を示します。符号を除いた大きさである絶対値は、直線的な関係の強さを表します。0に近くても、曲線状など直線以外の関係がある場合があり、関係が全くないとは限りません。
学習用の関係図。飲料の売上と熱中症に関係があっても、飲料を売ることが熱中症の原因とは限らない。ほかの要因も調べよう。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
暑い日に冷たい飲み物が売れて、熱中症も増えたら、二つの数字が一緒に増えたことにも意味があるの?
一緒に変わる関係を相関という。でも、飲み物が売れたから熱中症が増えた、と原因を決めることはできない。両方に気温が関わるかもしれないから、原因と結果の関係も分けて考えるんだ。
3複数の項目の関係を、一覧で確かめる
項目の組ごとの相関係数を表にしたものが相関係数行列です。ここでは直線的な関係を表すピアソンの相関係数を使います。値にばらつきがある項目なら、同じ項目同士の係数は1です。項目の上下を入れ替えた組でも、係数は変わりません。
全て同じ値の項目ではこの係数を計算できないので、空欄などの扱いを確認します。
組ごとの散布図を並べるのが散布図行列です。数字だけでなく点の形も見られます。下の小さな例ではAとBは完全に同じ向きに増え、相関係数は1です。AとCは−0.5ですが、3組だけで一般的な傾向を断定することはできません。
別の要因の影響などで、直接の因果があるように見える相関を擬似相関と呼びます。例えば暑さによって冷たい飲み物と日傘の販売がともに増えても、飲み物の販売が日傘の販売を引き起こしたとは限りません。
| 記録 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 2 | 3 |
| 2 | 2 | 4 | 1 |
| 3 | 3 | 6 | 2 |
| 項目 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| A | 1 | 1 | −0.5 |
| B | 1 | 1 | −0.5 |
| C | −0.5 | −0.5 | 1 |
| 縦\横 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| A | A | ||
| B | B | ||
| C | C |
行の項目が縦、列の項目が横。各図はその項目の最小〜最大を表示。正確な値は上の元データを参照できます。
4関係を式で表し、知りたい値を見積もる
気温から飲料の販売量を見積もるように、ある値を手がかりに別の値を予測するため、関係を式で近似する方法が回帰です。手がかりにする値が説明変数、予測したい値が目的変数です。図の仮の式「販売量=気温×2+10」なら、25℃で25×2+10=60個と計算します。
実際の式は観測したデータから求めます。予測値と実測値のずれをそれぞれ二乗し、その合計をできるだけ小さくするよう式を当てはめる方法が最小二乗法です。二乗は同じ数を二回掛けることです。過去に観測した範囲を大きく外れる予測や、状況が変わった後の予測には注意が必要です。
- 学習用の仮の式販売量 = 気温 × 2 + 10
- 気温が25℃なら25 × 2 + 10 = 60
- 推定される販売量60個
仮の式であり、実際の予測式ではない。観測した範囲を大きく超える予測や、条件の変化には注意する。
5散らばりを測ることと、項目をまとめること
2・2・2と0・2・4は、どちらも平均2ですが、散らばりが違います。平均からの差をそれぞれ二乗して平均した散らばりの指標が分散です。その平方根、つまり二乗すると分散になる0以上の数が標準偏差で、元のデータと同じ単位で読めます。
一方、多くの項目の関係を整理したい場合もあります。相関のある複数の変数を、情報をできるだけ保ちながら少数の新しい軸にまとめる方法が主成分分析です。例えば、いくつもの評価項目に共通する特徴を少数の軸で捉えます。散らばりを測る、項目をまとめる、目的の値を回帰で予測するという、それぞれの目的を区別しましょう。
平均2。平均からの差はすべて0
平均2。平均からの差は−2・0・2
平均だけでは散らばりが見えない。ここでは、平均からの差の二乗を合計し、データ数で割ったものが分散。標準偏差はその平方根。
6似た分析の名前を、目的で区別する
何をまとめるかに注目すると、手法を選びやすくなります。クラスター分析は、似た特徴を持つ顧客などの対象をグループに分けます。主成分分析は、関連する複数の測定項目の情報を、少数の新しい軸へまとめます。『人を分ける』ことと『項目の情報をまとめる』ことの違いです。
過去の気温と販売数の関係を式にして販売数を予測するなら回帰分析、制約の下で利益などを最大にする組合せを求めるなら最適化を使います。目的や制約を一次式で表して解く方法が線形計画法です。
データだけでは予測が難しい将来を考えるときには、複数の専門家へ匿名で繰り返し質問し、集約した意見を返して再検討してもらうデルファイ法もあります。単に多数決を1回取る方法とは違います。
| 見るところ | 具体例・考え方 |
|---|---|
| 対象をまとめる | クラスター分析:似た買い方をする顧客を分ける |
| 項目をまとめる | 主成分分析:多数の評価項目を少数の軸で表す |
| 関係を調べる | 相関分析:気温と販売数がどう一緒に変わるかを見る |
| 重点を決める | ABC分析(商品などを重要度に応じてA・B・Cに分類する分析):金額の累積割合などで重要度を分ける |
理解のための架空の例です。
7日々の揺れをならして、変化を見る
移動平均は、平均する範囲を少しずつずらして、細かな揺れをならす方法です。販売数が10、20、30、40杯と続いたとき、3日移動平均は(10+20+30)÷3=20杯、次が(20+30+40)÷3=30杯です。ここでは各3日分の平均を、期間の最終日に置きます。
季節調整は、毎年の夏に売れやすいなど、季節に伴う規則的な変動の影響を調整して、基調を読みやすくすることです。単に数日分の平均を取ることと同じではありません。
復習
このパートを振り返ろう
大きく外れた待ち時間があるとき、平均だけでは何を見落としますか。
二つの値が一緒に増えるなら、一方を減らすと他方も必ず減りますか。
AとBが0.6ならBとAは? 全て同じ値のCとの相関は?
答え方と、確認するポイント
BとAも0.6。値にばらつきのあるAの自己相関は1。一定値のCとの係数は計算できないので、0と同一視しない。
問題で確かめる
学んだことを問題で確かめよう
入門の確認問題3問で、この範囲の考え方を使います。答えを選んだら、正解の理由とほかの選択肢の違いも確かめましょう。
ヒントを見る
小さい順に並べて中央を見る。
オリジナル入門問題 · シラバス 6.5
3問中0問の答えと解説を確認しました。選んだ答えの理由も確かめてから、次へ進みましょう。
出典・参考資料を確認する
学習範囲:IPA シラバス Ver.6.5 ↗ 項目2。身近な例・会話・図解・確認問題は当サイトのオリジナルです。