会社のお金を見る、3枚の報告書
もうけ、持っている財産、お金の出入りを、3種類の報告書で見分けましょう。
- ある時点の財産と、期間の利益・現金の動きを区別できる。
- 資産と負債から純資産を求められる。
- 借入れによる現金の増加を利益と区別できる。
点線のことばを押すと、意味と使い方を調べられます。
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このページの目次 3節・復習と3問
- 1説明を読む
- 2復習する
- 3問題を解く
- 4次へ進む
1P/L:ある期間の成績
会社は日々の取引を記録し、一定期間の区切りに集計・整理して、利益や財産の状況をまとめます。この手続が決算です。その結果を伝える報告書が財務諸表で、ここでは代表的な3種類を読み分けます。
会社が一定期間にどれだけ収益を得て、費用を使い、利益を残したかを示す報告書が損益計算書で、P/L(損益計算書)とも表します。売上などの収益から、売上原価や販売費・一般管理費などを差し引き、種類ごとの利益を確認できます。たとえば4月から翌年3月までの1年間に、本業でどれだけもうかったかを見る使い方です。
期間全体の成績なので、「3月31日に現金をいくら持っているか」という、ある時点の残高とは区別します。また、売った代金を後で受け取る取引もあるため、この報告書に利益が出ていても、同じ金額の現金が増えたとは限りません。
会社のお金は、三つの見方で確かめる
ハルとビットで、使い方を確かめよう
この説明に出てきた略語の正式名称
- P/L
- Profit and Loss Statement
損益計算書
2B/S:ある時点の財産と調達元
会社がある日にどんな財産を持ち、それをどう調達したかを示す報告書が貸借対照表で、B/S(貸借対照表)とも表します。
この関係を資産=負債+純資産と表します。資産500万円なら、たとえば負債200万円と純資産300万円に対応します。資産500万円がすべて現金という意味ではなく、商品の在庫や建物も含まれる点に注意しましょう。
取引を記録・集計するときの分類名を勘定科目といいます。「現金」「売掛金」「買掛金」「売上」などです。名前に「お金」が関係していても、すべて同じ種類には入りません。表で、受け取る権利と支払う義務を区別しましょう。
この説明に出てきた略語の正式名称
- B/S
- Balance Sheet
貸借対照表
3C/F:現金などの増減
売上や利益だけでなく、手元のお金が何によって増減したかを調べる報告書がキャッシュフロー計算書で、C/F(キャッシュフロー計算書)とも表します。一定期間の現金と、容易に換金でき価値が大きく変わる危険が小さい短期投資などの現金同等物の増減を扱います。
動きは3種類に分け、商品販売代金の回収などは営業活動、設備の購入などは投資活動、借入れや返済などは財務活動に分類します。借入れで現金が増えても、それ自体が利益になるわけではありません。反対に、利益が出ていても代金の回収が支払いより遅ければ資金が不足し得ます。
増減の額と理由を合わせて見ましょう。
商品販売代金の回収など
設備の購入など
借入れ、返済など
利益と現金収支は一致するとは限らない。増減だけでなく、どの活動によるかを見る。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
お金以外に、店の商品や建物も確かめたいな。
ある時点の財産と、そのためのお金をどう集めたかを示すのが貸借対照表、B/S。現金などが何で増減したかを見るのがキャッシュフロー計算書、C/Fだよ。
この説明に出てきた略語の正式名称
- C/F
- Cash Flow Statement
キャッシュフロー計算書
4売れた日と、入金の日は違うことがある
通常の商品取引で「代金は来月払う」と約束して販売した場合、売った側には、後でお金を受け取る権利が生じます。これが売掛金です。仕入れた側にある、代金を後で支払う義務は買掛金といいます。どちらも現金そのものではありません。
後日支払いが行われると、売った側は売掛金が減って現金などが増え、仕入れた側は買掛金と現金などが減ります。後払いを受け付ける際には、相手が支払えそうかも確認したいところです。取引先の支払能力などを調べ、後払いの上限や条件を決めて管理することを与信管理といいます。
利益だけでなく、回収と支払いの予定も確かめましょう。
売れた日と、入金の日を分けてみよう
ハルとビットで、使い方を確かめよう
もうけ、財産、お金の動きで、見る報告書が違うんだね。
その通り。3枚を合わせて見ると、利益があっても支払いに困るのはなぜか、といったことも考えられるよ。
5後払いの上限と、まだ回収していない額
後払いの取引には、相手が支払う前に次の注文が来ることもあります。「後払いで、どこまで取引してよいか」の上限が与信限度額です。今、新しい注文をどこまで受けられるかを、上限と未回収の額から考えます。
- 売掛金:販売した代金を、後で受け取る権利。ここではまだ入金されていない40万円です。
- 受注残:注文を受けたものの、まだ納品などを終えていない分。ここでは20万円です。
上限100万円に売掛金と受注残の両方を含めるルールなら、新しい注文に使える余力は100−40−20=40万円です。
後日20万円が実際に入金されれば、ほかの条件が同じなら余力は20万円増えます。手形は、将来の期日に支払う約束を記したものです。受け取っただけで代金を回収できたとは限らないので、計算に含める範囲や期日・入金の条件を問題文で確かめます。
手形も上限に含めるという条件なら、上限100万円−売掛金30万円−未決済の受取手形20万円−受注残10万円=40万円の余力です。売掛金から手形へ振り替えただけなら、未回収の合計は変わりません。手形の期日に実際に入金されて初めて、その分の余力が増えます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 取引の上限 | 100万円 |
| まだ回収していない売掛金 | −40万円 |
| 上限に含める受注残 | −20万円 |
| 新しく受けられる余力 | 40万円 |
学習用の架空条件。実務上の管理範囲を一律に決める式ではありません。
6資産は「動かせるか」で分けない
「計上」は、会計の帳簿や報告書に金額を載せることです。資産として載せることと、その期間の費用として扱うことを分けて考えます。
資産は、会社が持つ財産などです。貸借対照表では、流動資産・固定資産・繰延資産に分けます。
- 流動資産:現金や、通常の営業の流れで販売・回収する商品や売掛金、原則1年以内に現金にできる資産などです。
- 固定資産:事業で長く使う建物や機械、長期の投資などです。建物・機械・土地など形のある有形固定資産、特許権や資産に計上するソフトウェアなどの無形固定資産、投資その他の資産に分かれます。
- 繰延資産:既に受けたサービスに対する特定の費用について、将来にも効果が及ぶため、基準に従って資産に計上し、後の期間にも分けて費用にするものです。創立費や開業費など一定の項目に限られ、原則として支出時に費用処理するものを、認められた範囲で繰り延べます。
負債も、通常の営業で生じる買掛金や原則1年以内の返済分などの流動負債と、それ以外の長期借入金などの固定負債を区別します。固定は『動かせない』という意味ではなく、流動は『すぐ動かせる物』という意味でもありません。
次の3種類に分けます。①②③は同じ段階の分類です。
- 有形固定資産
- 無形固定資産
- 投資その他の資産
ハルとビットで、使い方を確かめよう
動かせるパソコンなら、流動資産?
動かせるかでは決まらないよ。会社が長く使う設備として持つのか、販売用の商品なのか、使い方を考えよう。
復習
このパートを振り返ろう
利益、ある日の財産、現金の増減は、どの報告書で見ますか。
資産が全て株主の出資でできているとは限らないのはなぜですか。
通帳の残高が増えたら、本業で利益が増えたといえますか。
答え方と、確認するポイント
借入れや資産の売却など、別の原因で増える場合があります。増減の額だけでなく、営業・投資・財務のどの活動から生じたかを確かめます。
問題で確かめる
学んだことを問題で確かめよう
入門の確認問題3問で、この範囲の考え方を使います。答えを選んだら、正解の理由とほかの選択肢の違いも確かめましょう。
ヒントを見る
「ある時点」が手がかり。
オリジナル入門問題 · シラバス 6.5
3問中0問の答えと解説を確認しました。選んだ答えの理由も確かめてから、次へ進みましょう。
出典・参考資料を確認する
学習範囲:IPA シラバス Ver.6.5 ↗ 項目3。身近な例・会話・図解・確認問題は当サイトのオリジナルです。