会社の情報と、届けるまでの仕事をつなぐ
ERP・CRM・SCMと、価値を生む仕事のつながりを区別しよう。
- 全社の基幹業務を統合するERPを選べる。
- 顧客関係のCRMと、商談を支えるSFAの目的を区別できる。
- 販売時点の記録・分析・定型操作の自動化を区別できる。
点線のことばを押すと、意味と使い方を調べられます。
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このページの目次 3節・復習と4問
- 1説明を読む
- 2復習する
- 3問題を解く
- 4次へ進む
1ERP:会社全体で情報をつなぐ
カフェで売上、在庫、仕入れ代金、人件費の記録がばらばらだと、同じ数値を何度も入力したり、どれが最新か分からなくなったりします。ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)は、人・物・資金などを会社全体の視点で有効に活用する考え方です。
その実現を支えるERPパッケージは、会計、販売、在庫、人事などの基幹業務を統合して扱うソフトウェアです。
例えば販売の記録を在庫や会計と結び付け、同じ情報を部門間で使えるようにします。導入すれば自動的に正しい情報になるわけではなく、入力や更新のルールも必要です。
共通の情報を関連付け、会社全体の判断に役立てる。
販売の記録を共有
同じ販売記録を使い、商品在庫を1袋減らす。
同じ販売記録を使い、売上に反映する。
学習用の例です。実際の連携には、設定や入力・更新のルールが必要です。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
売れた数を、在庫の表と会計の表に何度も書いていたんだ。
ERPは、そうした中心業務の情報をつなぐのに役立つよ。入力のルールも一緒に整えよう。
2CRM:お客さんとの関係を育てる
「前回の相談内容をもう一度説明してください」と毎回言われると困りますね。顧客とは、商品やサービスを買ったり利用したりする相手です。CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)は、購入履歴や問い合わせの内容を生かし、顧客との良い関係を築き、維持していく考え方です。
- 相談内容を共有し、担当者が変わっても続きから対応する。
- 過去の利用状況に合う案内や支援を考える。
カフェなら、本人が希望した連絡方法で、お気に入り商品の再販売を知らせる例が考えられます。顧客情報をためるだけでは目的を達成できません。また、個人情報は目的や利用条件を確かめ、必要な範囲で安全に扱います。
SFA(Sales Force Automation:営業支援)は、商談の進み具合や交渉履歴を共有し、営業活動を支援する仕組みです。商談は、商品やサービスの購入条件などについて話し合うこと。CRMの実現を支える機能として連携することもあります。
- 1顧客の情報
利用・相談の履歴
- 2共有と理解
前回までの内容を確認
- 3次の対応
相手に合う案内や支援
情報を集めるだけでなく、関係の維持・改善に使う。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
相談したことを覚えてくれていると、また頼みやすいね。
それがCRMで大切にする関係づくりの一例だね。情報は決めた目的に沿って扱おう。
3販売の記録・分析・自動化は、役割が違う
カフェで会計をすると、「何が、いつ、いくつ、いくらで売れたか」という記録を残せます。POS(Point of Sale:販売時点情報管理)は、販売した時点の情報を記録・集計し、商品管理や販売分析などに役立てる仕組みです。
現金を受け取る箱だけを指すわけではありません。
BI(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)は、蓄積したデータを集計・分析し、経営や業務の判断に生かす考え方や仕組みです。曜日別の売上を比較して仕入量を検討する、といった使い方があります。
データを集めることと、そこから何を判断するかは別の段階です。
RPA(Robotic Process Automation:ロボティックプロセスオートメーション)は、コンピュータ上の定型的な操作などをソフトウェアで自動化する仕組みです。例えば、決まった形式の売上ファイルを開き、必要な項目を別のシステムへ入力する処理を支援します。
見込み顧客への情報提供を支えるMA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)とは、主に支える仕事が異なります。
一つのシステムが複数の機能を持つこともあります。商品名や「自動化」の一語だけで決めず、記録、分析、操作の自動化、営業支援、顧客関係管理のどれを説明しているかを読みましょう。
| 見分ける対象 | 意味・使う場面 |
|---|---|
| POS | 売れた時点の商品・数量・金額などを記録 |
| BI | 蓄積データを分析し判断に生かす |
| RPA | 決まったコンピュータ操作などを自動化 |
| MA | 見込み顧客への働きかけなどを支援 |
| SFA | 商談や営業活動の情報を共有・管理 |
| CRM | 顧客との関係を育てる |
機能は組み合わせられる。ここでは各用語の主な目的を区別する。
参考:GS1:標準の仕組み ↗
ハルとビットで、使い方を確かめよう
売上を自動で集める仕組みは、全部同じ名前?
売れた時点の記録か、分析か、入力作業の自動化かで役割が違うよ。何を助けているかを見よう。
4SCM:仕入先から利用者まで、流れを整える
コーヒー豆が届かなければ、店内の接客が上手でも飲み物を提供できません。原材料の調達から、生産、配送、販売、顧客への提供までの供給のつながりをサプライチェーンといいます。SCM(Supply Chain Management:供給連鎖管理)は、このつながり全体で情報を共有し、品切れや在庫の持ちすぎなどを減らす管理の考え方です。
- 店舗の売れ行きを見て、必要な豆の量を予測する。
- 仕入先と納品量・時期を調整する。
- 一社だけでなく、つながる会社への影響も確認する。
在庫を自分の店だけで減らしても、仕入先に無理が集中して供給が止まれば全体は良くなりません。ERP・CRM・SCMには連携や機能の重なりがあり、名称だけで完全に分かれた箱と考えないようにしましょう。
- 1豆の生産・加工
売れ行きに合わせて準備
- 2配送・仕入れ
数量と到着日を調整
- 3カフェ
在庫・販売状況を共有
- 4顧客
必要な商品を受け取る
物の流れに加え、需要や在庫の情報を関係者で共有する。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
うちの店だけで豆の在庫を減らせば良いわけではないんだね。
うん。必要な日に届けられるか、仕入先や配送も含めて考えるのがSCMだよ。
5バリューチェーン:どの仕事で価値を生むかを見る
同じ豆を使っても、淹れ方や接客、困ったときの対応で「この店を選びたい」と感じる度合いは変わります。バリューチェーンは、企業の活動を、顧客に届ける価値を生み出す一連の活動として捉える考え方です。そのつながりを管理し、競争力を高めることがバリューチェーンマネジメントです。
購買物流は受け取った材料の保管や取扱い、調達は必要な材料などを購入する活動です。主活動とそれを支える活動の両方を検討します。SCMが供給の流れ全体に注目するのに対し、バリューチェーンでは活動ごとの価値やコスト、活動同士のつながりに注目します。
| 区分 | 代表的な活動 | カフェの例 |
|---|---|---|
| 主活動 | 購買物流・製造・出荷物流・販売・サービス | 豆を保管し、淹れ、渡し、相談に対応する |
| 支援活動 | 調達・人事労務・技術開発・全般管理 | 仕入契約、従業員育成、淹れ方の開発、会計 |
販売だけでなく、活動同士のつながりも検討する。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
目に見える接客を、研修や仕入れの仕事も支えているんだね。
そう。どの活動で価値が生まれ、互いにどうつながるかも見てみよう。
6運ぶ速さだけでなく、仕入れと在庫も合わせて考える
物流は、物を運ぶ、保管する、包装するなど、物の流れに関わる活動です。ロジスティクスは、必要な物を必要な条件で届けるため、調達・生産・在庫・配送と情報の流れを関連付け、全体として計画・管理する考え方です。トラックを速く走らせる話だけではありません。
架空のカフェで、配送料を下げようと1か月分の牛乳を一度に買うとします。運ぶ回数は減っても、冷蔵庫に入らなかったり、使い切る前に期限が来たりすれば困ります。一方、少量を毎日頼めば、配送費や受取作業が増えることがあります。
売れる見込み、保管できる量、期限、到着までの日数を合わせて比べます。
SCM(Supply Chain Management:供給連鎖管理)は、供給に関わる企業間の協力も含め、調達から顧客までのつながり全体を最適にする考え方です。ロジスティクスと重なる活動がありますが、「運ぶ・保管する物と情報をどう管理するか」と「供給連鎖全体をどう連携させるか」という注目点を整理しましょう。
| 見分ける対象 | 意味・使う場面 |
|---|---|
| まとめて仕入れる案 | 配送回数は減り得るが、在庫・保管・廃棄に注意 |
| 少量ずつ仕入れる案 | 保管量は減り得るが、配送・受取の負担に注意 |
| 全体で確かめる | 必要な日に届くか、欠品と総費用はどう変わるか |
金額や最適量を断定しない、架空の比較例。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
送料だけ安くなれば、お店全体でも得かな?
保管や廃棄の費用が増える場合もあるよ。売れる量と届く日も合わせて比べよう。
復習
このパートを振り返ろう
会計と在庫で同じ値を共有するには、導入以外に何が必要ですか。
相談履歴を生かすことと、商談の進行を管理することは何を支えますか。
売上ファイルの転記を自動化しただけで、仕入量の分析も済みますか。
問題で確かめる
学んだことを問題で確かめよう
入門の確認問題4問で、この範囲の考え方を使います。答えを選んだら、正解の理由とほかの選択肢の違いも確かめましょう。
ヒントを見る
会社全体の会計・販売・在庫などをつなぐ目的だよ。
オリジナル入門問題 · シラバス 6.5
4問中0問の答えと解説を確認しました。選んだ答えの理由も確かめてから、次へ進みましょう。
出典・参考資料を確認する
学習範囲:IPA シラバス Ver.6.5 ↗ 項目12。身近な例・会話・図解・確認問題は当サイトのオリジナルです。
学習範囲と参考資料
- IPA ITパスポート試験シラバス Ver.6.5(項目11・12、印刷15〜16ページ) ↗
- Oracle:CRMとERPの違い ↗
- Oracle:サプライチェーン・マネジメントとは ↗
- Harvard Business School Institute for Strategy and Competitiveness:The Value Chain ↗
- Harvard Business School:Value Chain Analysis ↗
- Salesforce:MA・CRM・SFAの違い ↗
シラバスは学習範囲の根拠です。説明は各参考資料を基に当サイトが初学者向けに作成しています。2026年9月8日確認。学習用の例・会話・図解は当サイトの作成です。図の数値やお店の事例は架空で、実際の企業の実績を示すものではありません。