「この店を選ぶ理由」は何だろう?
値段以外の違い、狙う市場、費用が下がる理由を整理しよう。
- 中核的な能力を商品名や競争上の現象と区別できる。
- 顧客に認識されたい差別化の位置を選べる。
- 特定の需要へ集中するニッチ戦略を事例から選べる。
- 競合との差を縮める同質化と、新需要を生むブルーオーシャンを区別する
点線のことばを押すと、意味と使い方を調べられます。
表示・保存
このページの目次 2節・復習と4問
- 1説明を読む
- 2復習する
- 3問題を解く
- 4次へ進む
1選ばれる理由を、続けられる力にする
似た商品を出す店が並んでいても、「朝早く開く」「相談しながら豆を選べる」など、選ぶ理由は違います。競争優位は、競合に比べて有利な成果を生む状態。自社の得意な技術や能力のうち、顧客に価値を与え、まねされにくく、複数の商品などに生かせる中核の力をコアコンピタンスと呼びます。
例えば、豆の特徴を見分ける技能と育成の仕組みを、飲み物・豆の販売・体験教室に生かす案です。単なる商品名や「頑張る気持ち」だけでは、中核の力は説明できません。新しい商品や方法を実際に導入して価値につなげるイノベーションも、競争の形を変える契機になります。
競合と比べて「どんな価値を持つ店」と顧客に感じてもらいたいかを定めるのがポジショニングです。例えば「専門家に相談して豆を選べる店」という位置付け。後のマーケティングのレッスンで、相手の選び方と合わせて学びます。
例えば、店頭で待って買う方法に加え、時刻を選んで朝食を受け取れる仕組みを実際に提供し、利用者の待ち時間の不便を減らすことは、サービスや仕事の方法に関するイノベーションの例になり得ます。新しい案を思いついた段階と、導入して価値につなげた段階を区別しましょう。
架空のカフェを使った学習用の例。
2どこで、どう違いをつくるか
戦略の名前は、どんな競争の仕方を選ぶかを整理するためにあります。
- ニッチ戦略:需要が限られていても、十分に満たされていない特定の市場を狙う。
- 同質化戦略:競合の特徴を取り入れ、その違いを小さくする。
- ブルーオーシャン戦略:従来の競争の枠を見直し、差別化と低コストを同時に追求して、新しい需要を生み出す。
珍しいものを作れば必ず新市場ができるわけではありません。誰のどんな不便を減らすのかを確かめます。他社の優れた仕事の方法などと比較して改善に生かすベンチマーキングは、無断コピーではなく、学べる仕組みを見つける活動です。
| 考え方 | 何に注目する? |
|---|---|
| ニッチ戦略 | 特定の狭い需要 |
| 同質化戦略 | 競合との違いを小さくする |
| ブルーオーシャン戦略 | 価値とコストを見直し、新しい需要をつくる |
どれも名称だけで成功が保証されるものではない。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
少ない人数に向けた店でも、戦略になるんだね。
うん。誰の需要を満たすかが大事だよ。ただし、その人数で事業を続けられるかも調べよう。
3費用が下がる理由を二つに分ける
規模の経済は、生産や事業の規模を大きくすることで、1単位当たりの費用が下がる効果です。例えば、同じ設備費をより多くの商品に分けられます。混雑や管理の複雑化によって逆に費用が上がる場合もあり、無限に大きくすればよいわけではありません。
経験曲線は、累積生産量が増えるにつれて、作業の習熟や工程の改善などにより、1単位当たりの費用が下がる傾向を表すものです。規模は「どれだけ大きく行うか」、経験は「これまでどれだけ作り、学んだか」に注目します。長く続けた年数だけで判断したり、必ず同じ割合で下がると決めたりしません。
4似た商品が増えたら、全体への影響も見る
商品間の特徴の差が小さくなり、買い手が価格などで選びやすくなることをコモディティ化といいます。また、自社の新商品が既存商品の売上を奪い、食い合うことがカニバリゼーションです。
カフェで新しい安価なセットが売れても、従来のセットから移っただけなら、店全体の売上や利益は別に確かめる必要があります。食い合いがあるから即座に中止するのではなく、競合へ流れるのを防ぐ効果なども含めて検討します。
企業を見る側には、ESG(環境・社会・企業統治)(Environment:環境、Social:社会、Governance:企業統治)への対応を投資判断に組み込むESG投資という考え方もあります。
ESG投資では、例えば環境負荷を減らす取組(環境)、従業員の安全や取引先の労働環境への対応(社会)、経営を監督し不正を防ぐ仕組み(企業統治)などを、財務情報とともに投資判断の材料にします。良い取組の名前を掲げているだけで、利益や安全性が保証されるわけではありません。
実際の活動と情報開示を確かめます。
架空のカフェを使った学習用の例。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
新セットが100個売れたら、そのまま100個分売上が増えたことになる?
前のセットから移った人もいるかもしれないね。新旧合わせた注文や利益を比べよう。
この説明に出てきた略語の正式名称
- ESG
- Environmental, Social and Governance
環境・社会・企業統治
5商品が変わるだけでなく、競争の仕組みが変わる
今までの会社同士の競争に、新しい仕組みを持つ事業者が入り、従来の商売が成り立ちにくくなる場合があります。デジタルディスラプションは、デジタル技術を使う新しい商品・サービスや事業の仕組みが、既存の産業構造や競争のあり方を大きく変えることです。
ディスラプションは「破壊・断絶」に関わる言葉ですが、ここでは機械を壊すことではありません。
例えば映像作品を店で借りる方式から、通信で好きな時に視聴する方式へ利用が移ると、必要な店舗、在庫、料金の取り方、競争相手が変わります。これは変化を考えるための一般化した例で、すべての店がなくなるという予測ではありません。
- デジタルサイネージ:電子画面で案内などを表示する仕組み。
- デジタルディバイド:情報技術を使える条件や技能などによって生じる格差。
- DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション):デジタル技術やデータを使い、事業や仕事の仕組みなどを変革して価値につなげること。
自社が進める変革と、それが市場全体に及ぼす変化は、見る範囲が異なります。紙の案内を画面へ替えただけで、業界構造まで変わったとはいえません。
| 見分ける対象 | 意味・使う場面 |
|---|---|
| 表示の手段を見る | デジタルサイネージ |
| 利用機会などの格差を見る | デジタルディバイド |
| 事業・組織の価値を生む変革を見る | DX |
| 既存の業界構造や競争の大きな変化を見る | デジタルディスラプション |
同じ「デジタル」でも、問われている対象を区別する。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
電子の看板を置いたら、業界が変わったことになる?
看板の変更はサイネージの例だよ。ディスラプションでは、競争相手やサービスの提供方法までどう変わったかを見るんだ。
復習
このパートを振り返ろう
問題で確かめる
実際の問題に挑戦しよう
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)公開過去問2問、入門の確認問題2問で、この範囲の考え方を使います。答えを選んだら、正解の理由とほかの選択肢の違いも確かめましょう。
ヒントを見る
持つ商品ではなく、その商品を支える能力を見ます。
オリジナル入門問題 · シラバス 6.5
公開問題・原図の著作権はIPAにあります。表記・表の配置を整えています。解説は当サイト独自のものです。
4問中0問の答えと解説を確認しました。選んだ答えの理由も確かめてから、次へ進みましょう。
出典・参考資料を確認する
学習範囲:IPA シラバス Ver.6.5 ↗ 項目9。身近な例・会話・図解・確認問題は当サイトのオリジナルです。
学習範囲と参考資料
- IPA ITパスポート試験シラバス Ver.6.5 ↗
- OpenStax:Competition, Strategy, and Competitive Advantage ↗
- Blue Ocean Strategy:What Is Blue Ocean Strategy ↗
- BCG:What Is the Growth Share Matrix? ↗
- BCG:BCG Classics Revisited — The Experience Curve ↗
- GPIF:ESG投資とは ↗
- 中小機構:東海バネ工業への取材事例 ↗
シラバスは学習範囲の根拠です。説明は各参考資料を基に当サイトが初学者向けに作成しています。2026年9月8日確認。学習用の例・会話・図解は当サイトの作成です。図の数値やお店の事例は架空で、実際の企業の実績を示すものではありません。