人が育ち、働きやすい会社へ
新しい仕事の覚え方と、人が力を発揮しやすい職場のつくり方を知ろう。
- 実務を通じた育成と、新しい仕事に備える学びを区別できる。
- 理解度に合わせる学習と、能力を配置へ生かす管理を区別できる。
点線のことばを押すと、意味と使い方を調べられます。
表示・保存
このページの目次 2節・復習と4問
- 1説明を読む
- 2復習する
- 3問題を解く
- 4次へ進む
1学ぶ場面・手段・目的を分ける
新しい仕事を覚えるときは、「どの場面で」「何を使って」「何のために学ぶか」を分けると、似た言葉を整理できます。
- 実際の仕事を通じて学ぶ:先輩と接客しながら手順を覚える教育訓練がOJT(実際の仕事を通じて行う教育訓練)です。通常の業務から離れて講習などを受けるのがOff-JT(通常業務から離れて行う教育訓練)です。
- IT(情報技術)を学習の手段にする:動画やオンライン教材を使うのがeラーニングです。自宅か職場か、対面か画面越しかだけでOJTとOff-JTが決まるわけではありません。
- 理解度に合わせる:学習履歴から割合の問題が苦手だと分かり、次に入門問題を出すような方法がアダプティブラーニングです。
- 仕事の変化に備える:新しく必要な技能を身につけることがリスキリングです。注文の集計を任せるなら、ソフトの操作と数字の読み方を学ぶなど、目的に合う方法を組み合わせます。
人を支える管理の名前も区別しましょう。社員の能力を配置や育成へ生かすのがタレントマネジメント、組織の知識を共有・活用するのがナレッジマネジメントです。どちらも、理解度に合わせて教材を変える方式そのものではありません。
補足として、ディープラーニング(深層学習)はコンピュータがデータから学ぶ方法です。数値を受け取って次へ渡す計算の単位をつないだニューラルネットワークを、多くの層に重ねて使います。写真から猫を見分ける特徴を学ぶ用途などがあり、人に合わせて教材を出すアダプティブラーニングとは別の言葉です。
学ぶ目的・仕事との関係・手段を分けよう
ハルとビットで、使い方を確かめよう
この説明に出てきた略語の正式名称
- OJT
- On-the-Job Training
実際の仕事を通じて行う教育訓練 - Off-JT
- Off-the-Job Training
通常業務から離れて行う教育訓練 - IT
- Information Technology
情報技術
4人が育つ仕組みと、働き続ける支え
人を単なる人数として扱うのではなく、知識や経験を育て、企業の価値につなげる考え方が人的資本経営です。
- CDP(Career Development Program:キャリア開発計画)は、将来担いたい仕事に向けて、学習や経験の積み方を計画します。
- タレントマネジメントは、社員の能力や経験を把握し、配置や育成に生かします。
- リテンションは、働く人が定着できるようにする取組です。待遇だけでなく、成長機会や相談しやすさも関わります。
- HR(人材・人事)テック(Human Resources Technology)は、採用や人材育成などに情報技術を使うことです。
心の健康がメンタルヘルス、仕事と仕事以外の生活の調和がワークライフバランスです。仕事への意欲であるモチベーションを、休憩を取らず働くことと混同しないようにします。
事務の仕事なら、新しい集計ソフトを使うための学習を計画し、操作を練習してから仕事を任せ、困ったときの相談先を決める、と当てはめられます。
例えば「初めてのお客さんも安心して注文できる店」を目指すなら、商品を説明する技能が必要です。採用・配置・育成・評価・定着をつなげるHRM(Human Resource Management:人的資源管理)では、研修の回数だけでなく、説明する力や目標への変化も確かめます。
店長を目指す人のCDPなら、接客→発注→勤務計画と学ぶ経験を計画し、その技能記録をHRテックで次の育成へ生かす例が考えられます。
新人が相談しやすい定期面談や、成長の道筋を作ることはリテンションの例です。負担が続く人の勤務や分担を見直すことはメンタルヘルスを支えます。「説明できる商品が増え、役に立てた」という実感が次の学習へのモチベーションにつながる場合もあります。
接客の説明が得意な人を新人の支援へ、在庫計算が得意な人を発注の担当へ配置するように、技能の記録から役割を決めるとタレントマネジメントを仕事に生かせます。
架空のチームの例。個人の努力だけに任せず、会社の仕組みも整えます。
この説明に出てきた略語の正式名称
- HR
- Human Resources
人材・人事
3働く場所と、力を発揮する支え方
働く場所を柔軟にすることと、一人一人が力を発揮できる支援を整えることは、分けて考えます。
- 場所を選ぶ:会社の外でもITを使って働く方法がテレワークです。自宅、外出先、本社とは別のサテライトオフィスなどがあります。外出先での勤務はモバイルワーク、休暇先などで仕事と休暇を組み合わせる形はワーケーションです。
- 参加しやすくする:違いを尊重する多様性、必要な支援を整える公平性、誰もが参加できる包摂性を合わせた考え方がDE&Iです。
- チームを導く:メンバーを支えて力を引き出すサーバントリーダーシップと、得意分野などに応じて導く役割を分かち合うシェアドリーダーシップがあります。
会社から見えにくい場所でも、勤務時間・休憩・連絡方法を決め、働きすぎや孤立に気づけるようにします。状況によって有効なリーダーの振る舞いが異なると考えるのがコンティンジェンシー理論です。「いつも同じ指示の仕方が最善」とは考えません。
同じ資料を配っても、小さな文字が読みづらい人には届かないかもしれません。大きな文字の版も用意して参加しやすくすることは、公平性を考える例です。初めての仕事には具体的な手順を示し、経験者には判断できる範囲を広げるなど、状況に応じて支援を変えます。
ワーケーションでも勤務と休暇の区分、連絡方法、情報の守り方を決めます。
リーダーが必要な道具や相談の機会を整え、相手を支えて力を引き出すのがサーバントリーダーシップの例です。接客の課題は接客が得意な人、仕入れの課題は仕入れが得意な人が主導するように、役割を分かち合うのがシェアドリーダーシップの例です。
例えば育児の送迎や夜の学習がある人と、勤務の時間帯や分担を相談することはワークライフバランスを考える例です。特定の働き方を全員へ一律に当てはめるのではなく、仕事と生活の両方を続けられる調整を考えます。
外出先で働く場合は、画面や会話を周囲に見聞きされない場所を選び、会社が認めた接続方法や端末を使います。離れているからこそ、連絡できる時間帯と相談先も共有します。働く場所の自由と、勤務時間・情報の管理をセットで考えましょう。
どちらか一方が常に優れているわけではない。目的・状況・役割を確認する。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
家で働く人も、チームの一員として力を発揮できるようにしたいね。
そうだね。テレワークという場所の選択だけでなく、必要な支援や参加しやすさも一緒に考えよう。
2目標を決め、成長と働く意欲を支える
人が成長するには、目指すことを共有し、取り組みを振り返り、必要な支援を整えます。ここでは四つの観点を分けましょう。
- 目標を合わせる:本人と目標を設定し、成果を評価して管理するのがMBO(目標による管理)です。
- 考えや成長を支える:「どう工夫したい?」と問いかけて考えを引き出すコーチングと、経験者が成長や悩みの相談に乗るメンタリングがあります。
- 仕事への意欲を見る:活力・熱意・没頭に注目するのがワークエンゲージメントです。会社への愛着や貢献意欲を表す従業員エンゲージメントとは区別します。長時間働くこと自体ではありません。
- 人を支える全体を管理する:採用・配置・育成・評価・定着などを扱うのがHRMです。定着とは、働く人が会社で働き続けられることです。
MBO(Management by Objectives:目標管理)の例なら、本人と上司で「月末までに注文入力を一人で正確に行える」と目標を決め、練習と振り返りをします。コーチングでは「どこで迷った? 次はどう確かめたい?」と問いかけ、本人の考えを引き出します。
メンタリングでは、経験者が今後の働き方や職場での悩みを聞いて成長を支える例があります。一回の会話で必ず分類できるものではなく、支援の目的と重点を見ます。
- 1目標を合わせる
MBOなどで目標と期待を確認
- 2
- 3振り返り、次へ
成果を評価し、次の育成や配置を考える
HRMは採用、配置、育成、評価、定着などを扱う。手法は組織や状況に応じて選ぶ。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
この説明に出てきた略語の正式名称
- MBO
- Management by Objectives and Self-Control
目標による管理
復習
このパートを振り返ろう
OJTとリスキリングは、同じ分類の言葉ですか。
理解度に合わせて次の問題を変えることと、技能記録から担当を決めることは何が違いますか。
答え方と、確認するポイント
教材を理解度へ合わせるのがアダプティブラーニングです。社員の技能や経験から配置・育成を考えるのがタレントマネジメントです。どの判断に情報を使っているかで区別します。
問題で確かめる
実際の問題に挑戦しよう
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)公開過去問1問、入門の確認問題3問で、この範囲の考え方を使います。答えを選んだら、正解の理由とほかの選択肢の違いも確かめましょう。
ヒントを見る
実際の仕事をしながら学んでいる点に注目。
オリジナル入門問題 · シラバス 6.5
公開問題・原図の著作権はIPAにあります。表記・表の配置を整えています。解説は当サイト独自のものです。
4問中0問の答えと解説を確認しました。選んだ答えの理由も確かめてから、次へ進みましょう。
出典・参考資料を確認する
学習範囲:IPA シラバス Ver.6.5 ↗ 項目1。身近な例・会話・図解・確認問題は当サイトのオリジナルです。