暗号の鍵を使い分ける
- 共通鍵方式と公開鍵方式を,鍵の対応・配布・処理速度から比較できる。
- 受信者だけに読ませるための公開鍵と秘密鍵を選べる。
点線のことばを押すと、意味と使い方を調べられます。
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このページの目次 2節・復習と3問
- 1説明を読む
- 2復習する
- 3問題を解く
- 4次へ進む
1共通鍵方式と公開鍵方式を比べる
暗号化は,読めるデータを鍵とアルゴリズムを使って暗号文に変えることです。復号は,対応する鍵で元のデータへ戻すことです。
共通鍵暗号方式は,暗号化と復号に同じ秘密の鍵を使います。一般に処理が速く,大量の本文に向きますが,相手と安全に鍵を共有する必要があります。暗号文と鍵を同じ公開場所に置く方法では,秘密を守れません。
公開鍵暗号方式は,公開できる鍵と本人が保護する秘密鍵の対を使います。一般に共通鍵方式より計算の負荷が大きいため,本文全体に使うだけでなく,共通鍵を安全に使い始めるために組み合わせます。公開鍵は配布できますが,本当に相手の公開鍵かを確認する仕組みも必要です。
- 1送信者
共通の鍵で暗号化
- 2送るもの
暗号文
- 3受信者
同じ鍵で復号
送信者:共通の鍵で暗号化/送るもの:暗号文/受信者:同じ鍵で復号
2受信者の公開鍵で暗号化する
AからBだけに秘密の文書を送りたいとき,AはBの公開鍵で暗号化します。対応するBの秘密鍵を持つBが復号します。送信の操作をする人ではなく,「誰だけに読ませたいか」から鍵を選ぶのが要点です。
カフェ本部Aが支店Bへ機密文書を送るなら,本部は支店の公開鍵を使います。支店の秘密鍵は支店が保護したままで,本部へ渡しません。Aの公開鍵とBの秘密鍵のように,別の対の鍵を組み合わせても復号できません。
送り先Bの公開鍵を正しく入手することが前提です。対応する秘密鍵を持つBが復号します。暗号化と署名では鍵の役割が異なります。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
Bさんだけに送りたいなら僕の鍵を使う?
秘密の本文を送るときはBさんの公開鍵を使うよ。開ける秘密鍵をBさんが持っているからね。
3本文と本文用の鍵を分けて保護する
ハイブリッド暗号方式は,共通鍵暗号と公開鍵技術を組み合わせます。試験の基本モデルでは,本文を共通鍵で暗号化し,その共通鍵を受信者の公開鍵で暗号化して届けます。受信者は自分の秘密鍵で共通鍵を取り出し,その共通鍵で本文を復号します。
大きな文書を送るときも,本文は高速な共通鍵方式で処理し,その鍵の保護に公開鍵方式を使えます。図を読むときは,「本文を暗号化する箱」と「本文用の鍵を暗号化する箱」を分けて追いましょう。
実際の通信には,公開鍵技術で共通の秘密を安全に合意する方式もあります。「常に共通鍵そのものを送る」「相手の秘密鍵を受け取る」と一般化しないことが大切です。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
相手の秘密鍵をもらうの?
秘密鍵は本人が守るものだよ。配る公開鍵と区別しよう。
4持っている鍵から読める文書を判断する
復号できるかは,その人が使える鍵と暗号化に使われた鍵の対応で判断します。A・Bが共有する共通鍵の暗号文はAもBも復号できます。Aの公開鍵で暗号化されたものにはAの秘密鍵,Bの公開鍵で暗号化されたものにはBの秘密鍵が必要です。
鍵の名前だけを覚えるより,暗号化に使った鍵の横へ「対応する復号の鍵」を一つずつ書くと整理できます。署名を説明するときに現れる秘密鍵・公開鍵の役割は,受信者だけに本文を読ませる暗号化とは目的が違います。電子署名一般を,本文の秘密鍵暗号化と同一視しないようにしましょう。
過去問の表現を読む補足:一部の過去問は,秘密鍵で処理したものを対になる公開鍵で読めるというモデルを置きます。このモデルで公開鍵を使えるのは特定の受信者だけではないため,本文の秘密を守る使い方とは区別します。電子署名一般の処理をこの説明で置き換えることはできません。
保存中のデータにも暗号を使えます。ディスク暗号化はディスクやボリュームなどの単位,ファイル暗号化は個別のファイルを保護する方法です。ただし,復号の鍵や,復号できる状態の端末まで第三者に渡れば,暗号化だけで秘密を保てるとは限りません。
5アルゴリズムと秘密の鍵を分けて管理する
暗号化アルゴリズムは処理の手順,鍵はその手順で使う値です。方式の仕様が公開されていても,共通鍵や秘密鍵は適切に保護します。公開してよい手順や公開鍵と,秘密にする鍵を混同しないことが大切です。
暗号強度は方式,鍵長,実装や運用の条件に依存します。同じ方式なら鍵を長くすると一般に総当たりの候補が増えますが,異なる方式の鍵のビット数だけで安全性を直接比較することはできません。
鍵は生成・保管・配布・更新・廃棄まで管理します。例えば,共通鍵を知る人が担当から外れた場合,必要に応じて鍵を変更し,以後共有する文書を新しい鍵で暗号化して,その鍵を権限のある人だけに渡します。知られた鍵の保管場所だけを変えても,その人が持つ鍵の値は変わりません。
なお,既に取得された過去の暗号文や復号済みの情報を,新しい鍵への切替えだけで回収することはできません。
復習
このパートを振り返ろう
共通鍵方式と公開鍵方式は,鍵と処理の速さがどう違う?
答え方と、確認するポイント
共通鍵方式は同じ秘密の鍵を共有し,一般に処理が速い。公開鍵方式は公開鍵・秘密鍵の対を使い,一般に処理の負荷が大きい。
本社Aから支店Bだけに送りたい。暗号化と復号には誰のどの鍵を使う?
答え方と、確認するポイント
AはBの公開鍵で暗号化し,Bは自分の秘密鍵で復号する。Bの秘密鍵をAへ渡す必要はない。
問題で確かめる
実際の問題に挑戦しよう
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)公開過去問2問、入門の確認問題1問で、この範囲の考え方を使います。答えを選んだら、正解の理由とほかの選択肢の違いも確かめましょう。
ヒントを見る
受信者だけが持つ秘密鍵で復号できるように、その相方を使います。
オリジナル入門問題 · シラバス 6.5
公開問題・原図の著作権はIPAにあります。表記・表の配置を整えています。解説は当サイト独自のものです。
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学習範囲:IPA シラバス Ver.6.5 ↗ 項目63。身近な例・会話・図解・確認問題は当サイトのオリジナルです。
学習範囲と参考資料
シラバスは学習範囲の根拠です。説明は参考資料を基に当サイトが作成しています。身近な事例・会話・図の数値は学習用の架空例です。2026年9月10日確認。