最初の値段と、変わる値段を考えよう
高く始める、低く広める、需要に合わせる。狙いを比べよう。
- 高い初期価格で早期回収を狙う手法を選べる。
- 低い初期価格で普及を狙う手法を選べる。
- 需要や残りの枠に応じた価格調整を見分けられる。
点線のことばを押すと、意味と使い方を調べられます。
表示・保存
このページの目次 4節・復習と3問
- 1説明を読む
- 2復習する
- 3問題を解く
- 4次へ進む
1値段は、売上だけでなく利用のされ方も変える
価格は、顧客が払えるか、価値に見合うと感じるか、会社が費用を賄えるかなどに関わります。需要は買いたいという必要や量、供給は提供できる商品やサービスの量です。
新商品を広く試してもらいたいのか、独自の価値を求める人から開発費用などを回収したいのかで、初めの価格の考え方は変わります。価格を下げれば必ず利益が増えるわけではありません。1個当たりの利益が減る分を販売数で補えるか、作業や在庫が間に合うかも確かめます。
ここでは、具体的な価格の推奨ではなく、三つの手法の狙いを学びます。
架空のカフェを使った学習用の例。
2高く始めるか、低く広めるか
スキミングプライシングは、発売当初に比較的高い価格を設定し、新しい価値に高く支払う層から収益を得て、開発費用などの早期回収を狙う方法です。普及の段階に応じ、価格を下げて対象を広げる場合があります。
ペネトレーションプライシングは、当初から比較的低い価格を設定し、早く普及させて市場シェアなどを獲得することを狙う方法です。低い価格でも事業を継続できる費用構造や、その後の運営を考える必要があります。
「高級商品だから全部スキミング」「セールなら全部ペネトレーション」ではありません。導入時に何を狙って価格を決めたかを読みます。
| 手法 | 初期の価格 | 主な狙い |
|---|---|---|
| スキミング | 比較的高い | 高く支払う層から早期回収 |
| ペネトレーション | 比較的低い | 早期の普及・シェア獲得 |
価格の高低だけでなく、導入時の目的を確認する。利益や普及は保証されない。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
安く売り出す方法は、全部同じ名前になる?
目的を見よう。新商品を早く広めるための低い初期価格なら、ペネトレーションの考え方だね。
3ダイナミックは、状況に合わせて変える
ダイナミックプライシングは、需要と供給、時期、残りの販売枠などの状況に応じて価格を変える方法です。予約の集中や空き具合に合わせた宿泊料金などが例になります。自動計算の仕組みを使う場合がありますが、自動化そのものが定義ではありません。
空きが少なく需要が強いときに上げる、利用が少ない時間帯に下げるなど、設定の仕方を考えます。必ず値上げする手法ではなく、単に消費税率の変更で価格が変わることとも区別します。利用者に適用条件や確認時点の価格が分かること、変更が不公平な印象や混乱につながらないことにも配慮します。
| 状況 | 価格調整の例 |
|---|---|
| 予約が集中し、空きが少ない | 高めの価格に調整 |
| 利用が少なく、空きが多い | 低めの価格に調整 |
価格や条件は学習用の例。値上げだけを意味するものではない。
4価格の高さだけで、手法を決めない
架空のカフェが新しい持ち帰り商品を売り出すとします。独自の価値を求める人に高い導入価格で届ける案と、多くの人に試してもらう低い導入価格の案では、狙う相手が違います。これは初期価格の戦略です。一方、予約枠の空き具合に合わせて価格を変えるなら、状況に応じた価格調整に注目しています。
同じ企業が複数の手法を使うこともあります。選択肢の単語だけでなく、「いつ」「何に応じて」「何を目指して」価格を決めるのかを整理しましょう。費用と利益の基本は第1章でも確認できます。
5無料の基本機能と、有料の追加機能を組み合わせる
フリーミアムは、Free(無料)とPremium(付加価値の高いもの)を組み合わせた言葉です。基本のサービスを無料で提供し、高度な機能や追加サービスを有料にする事業の形を指します。
例えば、写真を一定量まで無料で保存でき、保存容量の追加は有料で利用するサービスです。無料部分にも継続して使える基本の価値があり、必要に応じて追加の機能を選べる形を考えてみましょう。
- 無料部分:多くの人が試し、基本の価値を得られるようにする。
- 有料部分:追加の価値に料金を払ってもらう。
- 運営:有料利用者から受け取る料金収入などで、無料部分も含めた費用を賄えるか考える。
一定期間だけ無料にする試用サービスとは区別します。無料利用者が増えても、それだけで事業が続くとは限りません。何に料金がかかるかを、利用者が選ぶ前に分かるようにすることも大切です。
架空の事業モデルの例。一定期間だけの無料体験とは区別します。
6何人に届き、何人が買うかを順に計算する
広告が届いた人数、商品ページを開いた人数、購入した人数は同じではありません。割合を使うときは、毎回「何に対する割合か」を確認します。ここからはすべて架空の学習例です。
- 案内を受け取った人は20,000人。
- その5%が商品ページを開く:20,000×0.05=1,000人。
- ページを開いた人の4%が1個ずつ購入:1,000×0.04=40個。
4%を最初の20,000人に掛けると、分母を取り違えます。段階ごとに計算するか、20,000×0.05×0.04=40とまとめます。
次に販売促進費が12,000円、商品1個の原価が700円とします。他の費用や税金は考えないという条件なら、総費用は12,000+700×40=40,000円です。売上と費用が等しくなる価格は40,000÷40=1,000円/個です。
先に販売促進費12,000÷40=300円/個を求め、原価700円へ足しても同じです。現実の最低価格は配送費なども含めて検討するため、この架空の条件から一般的な販売価格を決めることはできません。
- 案内を受信 · 20,000人この人たちの5%が閲覧する
- ページを閲覧 · 1,000人20,000 × 0.05。そのうち4%が購入する
- 購入 · 40人、40個1,000 × 0.04。1人1個買う条件
架空の学習例。カードの大きさは人数に比例させていません。
| 見分ける対象 | 意味・使う場面 |
|---|---|
| 受信→閲覧 | 20,000人×5%=1,000人 |
| 閲覧→購入 | 1,000人×4%=40人(40個) |
| 費用の合計 | 12,000円+700円×40個=40,000円 |
| 収支が0になる価格 | 40,000円÷40個=1,000円/個 |
架空例。1人1個購入、他の費用・税金を除外。掲載済み2020年問33へつながる基本手順。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
買う割合の4%を、最初に受け取った人に掛けちゃだめ?
この例の4%はページを開いた人に対する割合だよ。まず1,000人を求めてから掛けよう。
復習
このパートを振り返ろう
問題で確かめる
学んだことを問題で確かめよう
入門の確認問題3問で、この範囲の考え方を使います。答えを選んだら、正解の理由とほかの選択肢の違いも確かめましょう。
ヒントを見る
高く始める理由に注目しよう。
オリジナル入門問題 · シラバス 6.5
3問中0問の答えと解説を確認しました。選んだ答えの理由も確かめてから、次へ進みましょう。
出典・参考資料を確認する
学習範囲:IPA シラバス Ver.6.5 ↗ 項目10。身近な例・会話・図解・確認問題は当サイトのオリジナルです。
学習範囲と参考資料
- IPA ITパスポート試験シラバス Ver.6.5 ↗
- OpenStax:Pricing Strategies for New Products ↗
- OpenStax:Global Information Systems Business Models, Logistics, and Risk Management ↗
- IPA:2025年度公開問題(フリーミアム) ↗
シラバスは学習範囲の根拠です。説明は各参考資料を基に当サイトが初学者向けに作成しています。2026年9月8日確認。学習用の例・会話・図解は当サイトの作成です。図の数値やお店の事例は架空で、実際の企業の実績を示すものではありません。