法律だけ守れば、十分なの?
会社の判断やネットでの発信から、信頼を守る行動を考えよう。
- 法律の有無だけでなく、規範や相手への影響も踏まえて行動できる。
- 生成された文章を根拠と照合して公開する対応を選べる。
- 経営者を監督する企業統治を、資金調達や強みと区別できる。
点線のことばを押すと、意味と使い方を調べられます。
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このページの目次 5節・復習と3問
- 1説明を読む
- 2復習する
- 3問題を解く
- 4次へ進む
1信頼を守るための、行動の基準
法令や社内規則、社会的な規範などを守って行動することをコンプライアンスといいます。「法律に違反していなければ何をしてもよい」と考えるものではありません。お客さんへの誠実な説明、職場での人権尊重、秘密を守る行動などにも関わります。
特に情報の収集・利用・発信で大切にすべき考え方が情報倫理です。発信する側だけでなく、受け取って広める側にも責任があります。
法律上のルール
社内規則や方針
相手への影響、誠実さ
法令に触れるかどうかだけで判断を終えない。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
都合の悪いアンケートだけ消したら、良い結果として紹介できるかな?
それでは実態が伝わらないよ。法律だけでなく、記録を誠実に扱う情報倫理も大切なんだ。
2画面の情報を、確かめてから使う
- 実在しない記録を作るねつ造、都合よく書き換える改ざん、他人の成果を自分のものにする盗用は避けなければなりません。
- 生成AI(Artificial Intelligence:人工知能)を使うときも、顧客情報や秘密を入力してよいか確認し、出力された内容の事実や権利を確かめます。
- 似た意見ばかりが強まるエコーチェンバーや、推薦・検索の個別化で情報が偏るフィルターバブルにも注意します。自分の好みに合うことと、事実であることは別です。
- 1出所
誰が、いつ示したか
- 2根拠
元資料と一致するか
- 3影響
秘密・個人・権利への影響
共有数や自分へのおすすめ表示は、真実である証明ではない。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
文章を作る道具が答えてくれた内容も、そのまま信じていいわけではないね。
そう。元の資料や別の確かな情報と照らし合わせよう。誰が使うか、どんな影響があるかも考えるんだ。
3経営を見守る仕組みと、問題を伝える仕組み
経営の健全性や透明性などを確保するため、経営者を監督し統治する仕組みがコーポレートガバナンスです。業務の有効性、報告の信頼性、法令遵守などを確保するため、組織内で整備・運用する仕組みが内部統制です。売上の記録を担当者だけで確定させず別の人が確認するのは、内部統制の身近な例です。
公益通報者保護法は、一定の条件を満たす通報をした人が解雇などの不利益を受けないよう保護します。どの告発でも無条件に保護されるわけではありません。
記録や申請を作る
根拠と内容を確かめる
組織全体の健全性を見る
担当業務の確認と、経営を監督するガバナンスは範囲が違う。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
記録を別の人にも確認してもらうのと、経営を見守るのは同じ?
見る範囲が違うよ。記録を別の人が確認するのは内部統制の身近な例。経営の健全性や透明性を確保する統治の仕組みはコーポレートガバナンスだよ。
4善意で広める前にも、ひと呼吸
ソーシャルメディアポリシーは、組織がSNS(Social Networking Service:人と交流・共有するネット上のサービス)等を使う方針や、役員・従業員の行動指針です。公式アカウントだけでなく、私的な投稿でも秘密の漏えいや会社への信用の影響を考えます。
報道機関へ取材方法だけを指定する規則とは異なります。
- ネチケット(ネットマナー):画面の向こうにも人がいると考え、相手への配慮を持って利用することです。
- チェーンメール:「多くの人へ転送して」等と拡散を促すメッセージです。善意を装った救援情報でも、根拠を確かめず転送しません。
- フェイクニュース:事実でない内容をニュースのように伝える情報です。出所・日付・元資料を確認します。
- ヘイトスピーチ:特定の民族等への差別や排除をあおる言動に関わります。発信の自由を理由に他者の尊厳を傷つけてよいわけではありません。
デジタルタトゥーは、投稿がコピー等で残り、完全に消すのが難しくなることを指す言葉です。「削除ボタンがあるから、何でも投稿してよい」とは考えません。
| 見分ける対象 | 意味・使う場面 |
|---|---|
| 組織や個人の投稿 | 方針・秘密・人への影響を確認 |
| 転送を頼むメッセージ | 元の発信者と根拠を確認 |
| 話題のニュース | 日付・元資料・別の確かな情報を照合 |
| 削除できそうな投稿 | 複製されて残る可能性を考える |
広める前に確認することも、情報倫理。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
人助けのお願いなら、すぐ転送した方がいい?
古い情報や作り話の場合もあるよ。元の発信と今も必要かを確かめよう。
5会社を動かす人と、確かめる人
経営の執行は、事業について決めて実行することです。監督は、その経営が健全かを確かめることです。独立性のある社外取締役の選任や、監督と執行の役割分担は、経営者だけで判断が閉じないための仕組みになります。単に会社を買収したり資金を集めたりすることが、直ちに監督強化になるわけではありません。
内部統制報告制度は、上場会社等の経営者が財務報告に係る内部統制を評価して報告し、原則として監査人の監査を受ける制度です。すべての会社が同じ報告書を提出する制度ではなく、適用対象や免除等があります。
ビジネスと人権では、自社だけでなく取引先も含め、事業が人権に及ぼす悪影響を確認し、予防・軽減する視点を持ちます。ハラスメントを放置せず、相談や是正につながる仕組みを用意します。ELSI(Ethical, Legal and Social Issues:倫理的・法的・社会的な課題)は、例えば顔認識による入室管理の便利さと、プライバシーや不公平な扱いなどを一緒に考える視点です。
過去問では、資金調達を行うコーポレートファイナンス、社名・デザイン等の統一したイメージを築くCI(変更の頻繁な統合と自動確認を行う継続的インテグレーション)(Corporate Identity:企業の個性・理念を表す統一的な考え方)、競争優位の核になるコアコンピタンスとの区別も問われます。
これらは資金・ブランド・強みの話で、経営者を監督するガバナンスとは焦点が違います。
ガバナンス、業務内の統制、外部への報告を区別する。
ハルとビットで、使い方を確かめよう
お金を集めれば、ガバナンスが強くなる?
資金調達と、経営を監督する仕組みは別なんだ。誰が確かめるかを見ると分かるよ。
この説明に出てきた略語の正式名称
- CI
- Continuous Integration
変更の頻繁な統合と自動確認を行う継続的インテグレーション
6行政文書の公開と、保護する情報
情報公開法には、行政機関が保有する行政文書について誰でも開示請求できる仕組みがあります。ただし、個人情報などの不開示情報もあり、請求すれば全資料が無条件に公開されるわけではありません。
開示請求の仕組みがある
個人情報などは保護される場合がある
「誰でも請求できる」と「全部が公開される」は異なる。
7機器を処分するときも、会社の責任がある
古いパソコンを処分する場面では、中の情報と、機器そのものの扱いを分けて確認します。情報を消しただけで、どこへ捨ててもよくなるわけではありません。
廃棄物処理法は廃棄物を適正に扱うためのルール、リサイクルに関する法律は対象となる製品などの再資源化を進めるルールです。機器の種類や使われ方に合う回収・処理方法を調べます。
会社の責任は、情報を守ること、相手へ正しく説明すること、環境へ配慮して物を扱うことにも及びます。具体的な対象機器と各法律の違いは、この後の『公開する資料、処分する機器、それぞれのルール』で確認しましょう。
- 1情報の扱い
機器内の個人情報・秘密を確認
- 2物の扱い
廃棄・リサイクルのルールを確認
- 3責任ある対応
組織の手順と法令に沿って進める
情報の保護と、環境を守るルールは別の観点。
8ネットで権利を侵害されたときの仕組み
情報流通プラットフォーム対処法は、ネット上の権利侵害情報に関する事業者の損害賠償責任の制限、発信者情報の開示請求、大規模事業者の削除対応の迅速化・透明化等を定めます。旧称のプロバイダ責任制限法が過去問に出ることがあります。
発信者情報開示請求は、侵害を受けた人が投稿者等の情報の開示を求める仕組みです。送信防止措置依頼は、侵害情報が送信されないよう削除等を求める手続です。誰が投稿したかを知ることと、投稿を見られなくすることは別です。
申請すれば全ての投稿が自動的に消えるわけではなく、要件や判断手続があります。
有害サイトへのアクセス制限では、条件に合う情報を通したり遮断したりするフィルタリングや、保護者が利用時間・購入・閲覧等を管理するペアレンタルコントロールを使います。技術で全てを防げるわけではないため、相談できる環境も大切です。
「AIが答えたから」として秘密の顧客資料を入力したり、人物に関する虚偽の出力をそのまま公開したりしません。学習・入力段階では利用目的と秘密保持、生成・公開段階では事実・プライバシー・人への影響を別々に確認します。
| 見分ける対象 | 意味・使う場面 |
|---|---|
| 発信者情報開示請求 | 投稿者等の情報を明らかにする手続 |
| 送信防止措置依頼 | 侵害情報の削除等を求める手続 |
| フィルタリング | 条件に合うサイト等の閲覧を制限 |
| ペアレンタルコントロール | 保護者が利用時間・機能等を管理 |
投稿への事後対応と、閲覧を管理する予防策は役割が違う。
参考:e-Gov:特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 ↗
ハルとビットで、使い方を確かめよう
消してもらうことと、誰が書いたかを知ることは別?
うん。目的が違うから、手続の名前も分けて覚えよう。
9公開する資料、処分する機器、それぞれのルール
情報公開法で開示請求するのは、行政機関が保有する行政文書です。行政は法律等に基づき国の仕事を進める働き、立法は国会が法律を作る働き、司法は裁判所が争いを裁く働きです。国会・裁判所の文書や民間会社の文書を、全て同じ行政機関向けの法律で開示させるわけではありません。
地方自治体には条例等の制度もあります。
機器の廃棄では、情報を消すだけでなく、物の処理にもルールがあります。廃棄物処理法は適正な処理や不法投棄の防止等に関わります。リサイクル法という言葉は、家電や小型家電等、対象ごとの再資源化の法律をまとめて呼ぶことがあり、何でも同じ回収先へ出せるわけではありません。
GX(Green Transformation:脱炭素社会への転換)推進法は、脱炭素と経済成長を進めるため、戦略・投資支援・資金等の仕組みを定めます。ごみの分別だけの法律ではありません。例えば事業所の省エネ設備への転換では、投資と排出削減の両方を考えます。
例えば家電リサイクル法では家庭用エアコン・テレビ・冷蔵庫等・洗濯機等が対象となり、小型家電リサイクル法では別の使用済み小型電子機器等の回収・再資源化の仕組みがあります。機器の種類、家庭用か事業用か、自治体等の案内を確認します。
| 見分ける対象 | 意味・使う場面 |
|---|---|
| 行政機関の文書 | 情報公開法。個人情報等の不開示は別に判断 |
| 国会・裁判所・民間会社の文書 | 同じ法律で一括に公開請求する対象ではない |
| 使い終えた機器 | 廃棄物処理・対象ごとの再資源化 |
| 脱炭素への経済構造の転換 | GX推進法の戦略・支援等 |
法律の名前と、対象・目的を対応させる。
参考:e-Gov:行政機関の保有する情報の公開に関する法律 ↗
参考:e-Gov:脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律 ↗
ハルとビットで、使い方を確かめよう
国に関係する資料なら、全部同じ法律で見られる?
行政・立法・司法で役割が違うんだ。どの機関の文書かを確認しよう。
復習
このパートを振り返ろう
法律に具体的な禁止が見当たらなければ、都合の悪い記録を隠してよいですか。
答え方と、確認するポイント
社内規則や社会的規範、情報を受け取る相手への影響も考えます。ねつ造・改ざん・盗用を避け、事実を誠実に伝えます。
AIが自然な文章で答えた内容は、そのまま事実として公開できますか。
答え方と、確認するポイント
公式資料などの根拠と照合し、誤った記述を直します。読みやすさと事実の正確さは別で、入力時の秘密や公開時の権利・人への影響も確認します。
経営者への監督を強くすることと、資金を多く集めることは同じですか。
問題で確かめる
実際の問題に挑戦しよう
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)公開過去問1問、入門の確認問題2問で、この範囲の考え方を使います。答えを選んだら、正解の理由とほかの選択肢の違いも確かめましょう。
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法令に加えて、何を守る必要がある?
オリジナル入門問題 · シラバス 6.5
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3問中0問の答えと解説を確認しました。選んだ答えの理由も確かめてから、次へ進みましょう。
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