仕事を頼むとき、何を約束する?
アプリ制作を依頼する場面から、請負・準委任・派遣を比べよう。
- 仕事の完成を目的とする請負と、事務処理を委ねる準委任を区別できる。
- 請負で働く人への指揮命令を、契約の実態から選べる。
- 派遣元との雇用と、派遣先からの指揮命令を区別できる。
- 秘密情報を共有する目的と範囲を契約で確認できる。
点線のことばを押すと、意味と使い方を調べられます。
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このページの目次 3節・復習と4問
- 1説明を読む
- 2復習する
- 3問題を解く
- 4次へ進む
1契約では、何を引き受けるかを決める
仕事を頼むときは、「何を引き受けてもらうか」と「誰が働く人に指示するか」を分けて考えます。予約アプリを作ってもらうとき、「完成させたものを納める」という約束と、「運用の相談や作業を適切に進める」という約束は異なります。
- 仕事の完成を目的とする契約が請負契約です。
- 売買契約を結ぶように、権利や義務を生じさせたり変えたりする行為を法律行為といいます。これを任せるのが委任です。
- 運用相談や調査など、法律行為ではない事務の処理を任せるのが準委任契約で、受託者は求められる注意をもって業務を処理します。法律を守らなくてよいという意味ではありません。
契約名だけでなく、実際にどの義務を負うのかを確認します。準委任にも成果に対して報酬を支払う形があり、「必ず時間単価」「成果物は一切ない」とは言えません。引き受ける義務と報酬の条件は分けて読みます。
仕事の完成
法律行為以外の事務処理
どちらも契約で定めた義務を果たす必要がある。
2雇用する相手と、仕事を指示する相手を見る
労働者派遣では、労働者は派遣元と雇用関係を持ち、派遣先の指揮命令を受けて働きます。一方、請負では原則として請負会社が自社の労働者に指示します。発注者は請負会社と成果や要件を調整するのであって、契約書を「請負」としただけで、相手の労働者に日々の作業を直接指示できるわけではありません。
契約と実態が一致しない場合、偽装請負などが問題になります。
雇用する会社と、指示する会社を分けよう
ハルとビットで、使い方を確かめよう
別の会社に予約アプリをお願いしたら、その会社の人へ毎朝、直接作業を頼んでいいの?
契約の形と実際の働き方を確認しよう。請負なら、原則として請負会社が自分の会社の人に指示するよ。
完成をお願いすることと、人に仕事を指示することは別なんだね。
そう。何を約束したか、誰と雇用関係があり、誰が指示するかを整理しよう。
3秘密を共有する前に、使い方を約束する
仕事を頼む前に未公開の設計などを共有する場合は、NDA(Non-Disclosure Agreement:秘密保持契約)を結ぶことがあります。何が秘密で、何の目的に使え、誰に渡せるかなどを定めるもので、契約を結べば相手の情報を自由に利用できるわけではありません。
- 1対象
何を秘密として扱うか
- 2目的・相手
何に使い、誰へ渡せるか
- 3扱い方
管理・返却・廃棄等を定める
NDAは秘密情報の取扱条件を明確にする契約。
4請負の約束を、完成・引渡し・不具合で読む
請負契約の問題では、特約があるかを先に読みます。特約は、当事者が法律の原則とは別に定める条件です。次は特約がない場合の民法の基本です。
- 報酬:引渡しが必要な仕事では、目的物の引渡しと同時に支払うのが原則です。契約書に署名した瞬間に、必ず全額を払うわけではありません。
- 再委託:引き受けた仕事を、さらに別の業者へ頼むことです。請負では、契約の性質や条件に反しない範囲で他の業者を使えるのが一般的です。任せた仕事の完成について、元の請負会社の責任がなくなるわけではありません。秘密保持や契約上の再委託禁止等は別に確認します。
- 契約不適合:完成した物が契約で決めた種類・品質等に合わないことです。修正等の請求には要件や通知期間があり、いつまでも無条件に請求できるわけではありません。種類・品質の不適合は原則として知った時から1年以内の通知が必要で、請負人が知っていた場合等の例外があります。
- 完成前の解除:注文者は損害を賠償して解除できます。「完成前なら理由も補償もなく無料で中止できる」とは異なります。
労働者派遣事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要です。派遣契約では派遣元が雇用し派遣先が指揮する関係を、請負の完成責任と分けて読みます。
| 見分ける対象 | 意味・使う場面 |
|---|---|
| 完成 | 請負で引き受ける義務の中心 |
| 引渡し | 原則として報酬支払と対応 |
| 不適合 | 修正等には要件・通知期間がある |
| 完成前の解除 | 注文者は損害を賠償して解除できる |
民法632・633・637・641条等。特約や例外があるかも確認する。
参考:e-Gov:民法 ↗
参考:e-Gov:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 ↗
ハルとビットで、使い方を確かめよう
まだ完成していなければ、注文を無料で取り消せる?
完成前の解除でも損害の賠償が必要になるんだ。約束と法律の原則を見よう。
復習
このパートを振り返ろう
契約名を見るとき、成果物の有無や時間単価だけで準委任と判断できますか。
答え方と、確認するポイント
何を引き受ける義務かを見ます。請負は仕事の完成、準委任は法律行為以外の事務処理が中心です。報酬の決め方だけでは区別できません。
発注者の建物で作業する請負会社の社員には、誰が作業を指示しますか。
答え方と、確認するポイント
原則として請負会社が自社の社員へ指示します。発注者は請負会社の責任者へ要望を伝えます。作業場所や給与の支払元だけで、実態の適否は決まりません。
派遣で別会社へ働きに行くと、必ずその会社に雇われることになりますか。
答え方と、確認するポイント
雇用主は派遣元、仕事の指揮命令は派遣先です。働く場所と雇用関係を同一視せず、誰が雇い誰が指示するかを分けます。
NDAを結んだら、相手の資料を別の商品にも自由に使えますか。
答え方と、確認するポイント
秘密の範囲、使える目的、開示できる相手などの条件を確認します。NDAは無制限の利用を認める契約ではありません。
問題で確かめる
学んだことを問題で確かめよう
過去問を参考にした独自問題1問、入門の確認問題3問で、この範囲の考え方を使います。答えを選んだら、正解の理由とほかの選択肢の違いも確かめましょう。
ヒントを見る
何を完成させると約束しているかに注目。
オリジナル入門問題 · シラバス 6.5
4問中0問の答えと解説を確認しました。選んだ答えの理由も確かめてから、次へ進みましょう。
出典・参考資料を確認する
学習範囲:IPA シラバス Ver.6.5 ↗ 項目6。身近な例・会話・図解・確認問題は当サイトのオリジナルです。
説明の根拠を確認する
2026年9月8日確認。試験の基礎学習のために要点を整理しています。制度の適用条件や改正の詳細は、リンク先の公式資料で確認してください。